日本人初の全米催眠療法協会認定ヒプノセラピー講師 中島勇一によるグループセッション
2007年8月
「男性に気持ちをわかってもらいたいと思ったら…」
多くの男性は、パートナーの女性から「話したいことがあるのだけど…」と言われると、過去の同じような体験を思い出して、一体何を言われるのか、自然と身構えてしまいます。
仕事では、自分のやり方で間違っていたことがわかれば、そのことについて話し合うことはいといません。それは、問題点を見つけて改善するという、目的に向かって進んでいくための、男性にとってはあまり苦にならない分野のコミュニケーションだからです。
ところが、「あなたのせいで、私がどれだけ辛い思いをしているのかわかっているの…」という話になってくると、男性は
暗澹
あんたん
たる気持ちになります。冷静に、筋道の通ったことを言うと、かえって火に油を注ぐ結果になってしまいます。女性が求めているのは、間違いをどのように改善すれば良いのかというコミュニケーションではないからです。その後は何を言っても彼女の機嫌は悪くなり、何かひとこと言うと倍になって返ってくる…という体験を繰り返しているうちに、男性は女性とのコミュニケーションを諦めてしまいます。
今回は男性のコミュニケーションの特徴について考えてみましょう。
■男性は、何かを成し遂げることが好き
女性は、人と人との間の気持ちの調和に意識が向いています。だから、自分の気持ちをわかってもらえると安心し、相手の気持ちがわからないと不安になります。
男性はそれよりも、何かを成し遂げることの方に強く意識が向いています。
小学生の男の子が読むマンガは、怪獣と戦って地球を守ったり、スポーツでチャンピオンになるという、自分の力で頑張って何かをやりとげるというストーリーが多く、人間関係は単純で、ほとんどは自分の努力によって乗り越えていけます。一方、女の子が読むマンガは、「先輩は私よりも○○さんのことが気になるのかしら」といった、妬みや、あこがれ、失望などの複雑な心理描写と人間関係が前面に出ています。これは生まれつきの性質の他に、社会や文化が男性に求めている「何かを成し遂げる」という役割を、直接言葉で言われるだけでなく、なんとなくムードとしても取り込んで育ってくるからでしょう。
だから男性は、どうすれば成し遂げられるのかについて話し合うならOKだけど、不平不満は、言っても何も生み出さないから時間のムダだと思います。例えば職場で、「社長が僕の気持ちをわかってくれないから、辛くて仕事ができません」という訴えを、「そうだったのか…」と暖かく受け容れてくれる男性上司がどれだけいるでしょうか。悩みやグチ、自分の辛い気持ちをグダグダと人に話して何になるんだろう、そんなことで何が改善するのか、人に言っている間に、何か打つ手はないのかと叱責される場合の方がずっと多いのではないでしょうか。
■女性は改善案よりも、辛い気持ちを一緒に感じてほしい
だから男性は、女性から辛い気持ちを打ち明けられても短絡的に、「じゃあ、こうすればいいじゃない」という返事をしてしまいます。
しかし、そもそも「こうすればいいじゃない」と言われてすぐに気持ちが楽になるようなことなら、女性も改まって「話があるんです」とは切り出さないのです。彼女の口から話が出る時点で、相当煮詰まっているのです。「私はこんな気持ちになっているのよ」という出口の見つからないドロドロした思いを、相手にわかってもらいたいと思って話しているのですから、「こうすればいいじゃない」と答えを言われると、簡単にあしらわれたように感じて腹が立ち、火に油を注ぐような感じになるのです。
根本にあるのは、「こんなに大変だったのに、何でわかってくれないの」という気持ちです。改善案や答えがほしいのではなく、辛い気持ちを一緒に感じてほしいのです。ここが、男性がするっと抜けてしまうところなのです。
特に「成し遂げる」ということでずっとやってきたタイプの男性には、相手の辛い気持ちをただ聞いているだけで何も解決してやれないような状態になると、自分がすごく無力な感じがして、聞き続けることが辛くなってしまいます。一刻も早く解決策について考えたいと思ってしまいます。しかし、そのときに感じている気持ちこそ、相手の女性がずっと感じていた気持ちと同じなのです。
つまり、話を聞いているときに、「ああしんどいな、辛いな」という気持ちになったら、相手の女性はこんなに辛い気持ちなんだなと気づきながら、その状態でしばらく一緒に居てあげると、不思議と相手は気が済んで楽になっていきます。
不満を聞いているだけで、何の解決策もないわけだから、形の上では何かの問題が解消したわけではないけれど、二人の心の中では大きな仕事を成し遂げているのです。
■男性は感情にはとても臆病者
実は、男性は目標に向かっていくことには勇気がありますが、感情を感じていくことに関してはとても臆病なのです。だから男性は、普通は自分の気持ちを言葉では表しません。自分の気持ちを自分から言うのはかっこ悪いと思うのでしょうか、わかってもらうための話をあまりしません。その代わり自分の行動を通してわかってもらおうとします。例えば、「働く」という行動には、男性の言葉に表せないたくさんのコミュニケーションが含まれています。「職場では辛いことが多いけれど、それでも毎日仕事に出かけるのは、家族を大切に思っているからだ」という気持ちを、本当はわかってほしいのです。情緒面では女性の方が遙かに先輩ですから、まずは女性の方から男性の気持ちをわかってあげていくことから始めていくのがよいでしょう。うまくすると、自分がわかってもらえる体験をすることで、男性は嬉しくなって女性の気持ちをわかろうとするようになりますよ。
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